CCS v7の不具合 : No compilers are currently installed for this device-family.

Code Composer Studio v7.4 を起動して、Project -> New CCS project で新しいプロジェクトを作ろうとすると、

“No compilers are currently installed for this device-family. Click ‘View > CCS App Center’ to install a compiler before creating a project for this device.”

と表示され、テンプレートも何も選べない状態になることがある。
ついでに、既存のプロジェクトを開く事もできない。

どうやら Windows7起動直後、最初の1回はこうなってしまうようだ。

仕方なくCCSを一旦終了し、もう一度起動すると、正常に新規プロジェクトが作れるようになる。
なので、今はだましだまし使っている。

(追記)
あ、もしかして・・・と思って、試しにウイルスチェックソフトの「保護を一時的に無効にする」を設定して起動したら、1回目の起動でも正常に新規プロジェクトが作れる画面になった。

Graceで生成したソースコードをCCSで使うには (3)

前回 Graceで自動生成したソースを、CCSに取り込んでビルド、LaunchPadに書き込んで実行までをやってみる。
なお、ここで使っている CCS は現時点で最新の v7.4.0である。

まずCCSを起動する。Project → New CCS Project で新しいプロジェクトを作る。

New CCS Projectのダイアログで、使用するデバイス、プロジェクト名、プロジェクトのテンプレートを選択する。
プロジェクト名は G2452-GraceSA-Blink-Timer01 とした。テンプレートは Empty Project (with main.c) にしておく。

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Graceで生成したソースコードをCCSで使うには (2)

前回 書いた手順で、Graceでコード生成 → CCSでビルド → LauncPadでLED点滅 (Lチカ)まで、以下、実際にやってみる。

仕様:

  • LaunchPad Value Line (MSP-EXP430G2)を利用
  • マイコンはMSP430G2452IN20を選択
  • CPUクロックは16MHzに設定
  • ポート P1.0 のLED を、正確に500msでON/OFFさせる
  • 500msを作るために32.768KHzの水晶振動子を外付けし、LED点滅タイミングのクロック源とする
  • タイマー割込みを使用する

まず Graceスタンドアロン版 を起動する。

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Graceで生成したソースコードをCCSで使うには (1)

(前回の続き)

Graceスタンドアロン版で生成したソースコードを、CCSで使うには、若干の編集作業が必要になる。以下のサイトの記事が参考になる:
CCSv7 Grace Migration

このページの解説は、GraceがCCSのプラグイン方式だった頃に作成したプロジェクトを、最新の CCS v7.x などに持ち込む際の移植の手順を説明しているのだが、この手順が、スタンドアロン版のGraceの出力をCCSに持ってくる際にもヒントになる。

手順としては、だいたい以下のようになる:

  • (step-1) Grace側で使うマイコン・使う内蔵周辺を設定し、コード生成させる。
  • (step-2) CCS側で、新しい空のプロジェクトを作る。 C言語で main()があるだけのプロジェクトでいい。
  • (step-3) (step-1)で生成したコード一式を、CCSのプロジェクトの中へコピーする。
    ただし、CSL_init.c は不要なので持ってこない。
  • (step-4) Grace.h をCCSのプロジェクトにコピーする。
    main.cソースの中で Grace.hをインクルードしている行を、参照できるように「#include “grace.h”」のように修正する。
    main()の中の先頭で、一回 「Grace_init()」を呼ぶようにする。
  • (step-5) CCSでビルドする。

(続く)

まだ使える Grace

(前回から、続き)

Graceは、MSP430内蔵の各種周辺I/O機能の初期化ルーチンや、割込みルーチンのコードを自動生成してくれるツールだ。
GUI画面で自分の使いたい周辺ブロックを選択肢、必要な項目をうめていくと、人が読める形の Cのソースコードを生成してくれる。

Grace Quick Start Guide (Texas Instruments Wiki)

Grace Quick Start Guideのトップページ

「人が読める形のソースコード」を出してくれる所がミソで、コメントもしっかり入っていて、ベテランが「こういうコードを書けばいいよ」と、お手本を教えてくれている感じがする。
それだけでなく、あとから仕様変更、例えば 入力や出力に使うGPIOピンを変更したくなったら、GUI画面の設定にもう一度戻ってもよいが、ソースを直接、自分で編集すれば早い。

Graceは以前は、CCSに組み込んで使うプラグインの形で提供されていたが、残念ながら CCS v6.1.2を最後にサポートは終わり、プラグイン形式では提供されなくなった。
だが、Grace単独で使える、スタンドアロン版も公開されており、今でもダウンロードして使える。

ダウンロードのページはこちら。
Grace – グラフィカル・ペリフェラル設定ツール
「GRACE-CCSV6:」 「GRACE-CCSV4: 」とあるのがCCSのプラグイン版 (今でている最新版 CCS は v7.4 なので使えない)
スタンドアロン版は「GRACE:」とだけ書かれた、一番下の項目。 なお、ダウンロードにはユーザー登録 (TIサイトの my TIのアカウント) が必要なようである。

さて、ダウンロードしてインストールするだけですんなり使えるかというと、少しコツが要る。
基本的には、Graceでコード生成したものを、CCS側で作ったプロジェクトにコピーして取り込めばよいのだけど、手加工が必要な部分がある。
それについては次回。

(続く)

20ピンのMSP430マイコンを楽に使おう

MSP430が好きだ。
PICやAVRマイコンよりは人気も知名度も低そうだし、秋葉原で購入できる品種は限られているが、自分が便利に使えれば人気は関係ないし、通販を使えば豊富な品種が購入できる。

書き込みツールは、1万いくらするJTAGエミュレータではなく、Launchpad MSP-EXP430G2 から、Spi-Bi-Wire の線を引き出して使えば足りる。 解説「MSP430 Launchpadを書き込み器に流用する」を以前書いた。

20ピンDIP品のMSP430G2452、MSP430G2553 と、同チップのLaunchPadならば、秋月電子通商で安定して入手できる。

秋月電子で取り扱っているMSP430関連製品

MSP430マイコンで、Cでプログラムを書くには、以下のような、何通りかの流儀がある:
(1) ベアメタルで書く
(2) DriverLibを利用する
(3) Graceを利用する
(4) Energiaを利用する

# TIの日本語のサイトにも、「コーディングスタイルの選択」という解説ページがある。

自分にとって初めての品種のマイコンを使う時、プログラミングの課題は、内蔵されているA/DやらUARTやらI2Cなどの、豊富な周辺(ペリフェラル) I/O機能を、いかに楽に使いこなせるかにかかってると思う。

先に(4)のEnergiaに触れると、これは ArduinoのMSP430版みたいなもので、各種I/Oにも簡単にアクセスできる関数類が用意されている。よくできているのだが、Arduino同様、デバッグが弱い。ブレークポイントを張ったり、止めて変数の値を見たりはできない。

Code Composer Studio (CCS) を使う場合、まず、自分で1から周辺I/Oの仕様・機能をデータシートを読んで理解し操作する、(1)の流儀がある。(こういうのを「ベアメタルで」と呼ぶらしい) TIのサイトに各種I/Oを動かすサンプルコードが、MSP430の品種毎に公開されているので、コピペして使えば大体動く。ただ、サンプルにない使い方をしたい場合は、自分で頑張る必要があり、悩むケースもある。

(2)のDriverLib、これはTIが用意したライブラリで、CCSでプロジェクトを新規作成する時、この選択肢がでる品種に限り、利用する事ができる。Cの関数の形で各種APIが用意されていて、ドキュメントも揃っている。
ただし、MSP430FR4133とか、FR5739 などの、仕様的に大きいチップでのみサポートされているようだ。

20ピンの品種である MSP430G2553 では DriverLibは用意されていない。
ではベアメタルでやるしかないのか?
ここで強力な助っ人が、(3)のGraceだ。

(続く)